生涯健康のためにも読みたい良書 ~進化系!筋肉男子の栄養学~
実は去年末より、筋力強化のため週2回ほどジムに通っています。ですが、仕事でなかなか時間が取れず、面倒くさがりでもあるので「最少努力で、最大効果を得たい」と目論んでます。そのためには栄養管理が重要ですが、トレーニングの栄養に関する情報を探しても、おおざっぱであったり、根拠がよく分からない内容が書いてあったりと、満足の得られる情報がなかった。そこで出会ったのが本書です。
- 作者: 竹並恵里
- 出版社/メーカー: ベースボールマガジン社
- 発売日: 2016/02
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
本書は「トレーニングマガジン」の連載記事を、加筆修正してまとめられたものです。トレーニング系の雑誌と言えばまず「Tarzan」が思い浮かびますが、それと比べると本屋であまり見たことがない。表紙だけでの判断ですが、かなりストイックでマッチョな人がターゲットのよう。
トレーニングマガジン vol.20 特集:愛しの筋肥大 (B・B MOOK 790 スポーツシリーズ NO. 660)
- 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
- 発売日: 2011/12/22
- メディア: ムック
- クリック: 1回
- この商品を含むブログを見る
そんなストイックなマッチョをターゲットしているためか、トレーニングの栄養の基礎は多少知っている前提で、いくつかのテーマについて掘り下げるような書き方をしている。「肉を食べてればいいのか」「筋力が強ければいいのか」と、一辺倒な考え方に警笛を鳴らし、短期的な結果だけを見るのでなく、長期的に健康を維持するためにはどうすればいいのか、と広い視点でかつ、深く考察されている。
そして説明は、経験的・断定的なものではなく、「倫理的で、根拠に基づいた説明」をしており、それが本書の最も特徴的な部分でしょう。例えば、日本人の食事摂取基準2015では、コレステロールの目標上限量がなくなりましたが、その理由を「目標量を算定するのに十分な科学的根拠が得られなかった」と引用した上で、「栄養学は日進月歩の学問のため、数年後には新たな報告が出て今の常識が非常識になる可能性が大いにある」と説明しています。だからこそリスクを減らすためにバランスよく食べることが一番望ましいと最後に提案しています。エビデンスを提示した上で、エビデンスの限界も伝え、独断的にならない範囲で現実的な提案をされている。ちゃんと論理的に説明してほしい人には、最も分かりやすい書き方です。
また、著者は主食(糖質)について、ご飯を勧めていますが、その理由がまた、絶妙な説明をしている。「パンや麺類は小麦の加工品のため、小麦以外の材料がたくさん使用されています。~中略~主食を口にする度に、自分の意思とは関係なく、小麦以外の材料から望んでいない成分が体内にはいってくると考えると、どうもスッキリしません。」個人的意見なので言い切られていませんが、その理由は十分納得できます。その他にも、食事のリズム、楽しみ方から睡眠など、一見栄養とは関係なさそうな事まで触れており、スポーツ栄養っていろんな事が影響しているんだと、目から鱗のことが多かったです。
良書ではありますが、スポーツ栄養の本としては一冊目に読む本ではありません。もし、栄養のことを何も知らないのであれば、以下のような基礎的な内容が網羅されている本から入ることをお勧めします。
- 作者: 海老久美子
- 出版社/メーカー: 池田書店
- 発売日: 2010/08/06
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (2件) を見る