情意教育がテーマの、20年前の良書 ~効果的な情意教育の展開~

本書は最近読んだ本でなく、15年以上前に、臨床実習や職場の教育で悩んでいた頃に出合い、それ以来バイブルのように何度も目を通し、そして後輩にも引き継いできた思い出深い本です。驚いたことに、最近言われているタキソノミーや一般目標(GIO)、行動目標(SBO)のことが普通に書かれており、今になっては先見的な本だったと感じます。

効果的な情意教育の展開 (教育研修セミナー)

効果的な情意教育の展開 (教育研修セミナー)

  • 作者: 植村研一,医薬情報担当者教育センター
  • 出版社/メーカー: じほう
  • 発売日: 2000/12/01
  • メディア: 単行本
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本書が発行された2000年頃、作業療法の実習・教育は伝統的な方法論が主流で、私もその伝統に流されて教育をしていた時期です。その頃に本書と出会い、衝撃を受けたことを覚えています。衝撃を受けながらも納得できる部分ばかりで、「本来、医学教育はこうあったほうがいいだろう」との思いで、自分はもちろん、実習指導を行う後輩にも、必ず読んでもらっていました。

タイトルに「情意教育」と書かれていますが、情意だけでなく知識、精神運動領域のことも書かれており、バランスの良い本です。しかし、もっとも教育が大変なのは情意領域であることは、昔も今も変わりません。その情意領域に焦点を当てた本としては貴重で、今読んでも参考になることが多々あります。

大事なことがコンパクトに書かれており、しかも分かりやすく文字数も最小限なので、1時間くらいあれば読破できると思います。値段はなんと、1200円。こんなバランスの良い情意教育の本は、今見渡しても見つけられないくらいですが、アマゾンでは新品がなく、ほぼ絶版状態。絶版にせず、増版されることを期待しています。