最も多数派なマイノリティから考える ~女性の視点で見直す人材育成~

年末に読んだフィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (PHPビジネス新書)以来、中原先生の著書を探しては読んでいます。その中でも特に良かったのが本書。女性と書かれているが、スタッフの多様性にどう対応するかをテーマにした本です。図書館で借りた本ですが、何度も読み返すことになりそうなので、すぐに購入しました。

本書を開くと、最初のページに「女性のためだけの本ではありません!」とはっきり書かれている。本書は女性に限らず、病気を持ちながら働く人、介護をしながら働く人、など職場の中の少数派の立場をどう考えて組織運営を行っていくかの、ヒントとなる本です「科学的に」と書かれているが、実際は7000名以上の社会人にアンケートを行い、その結果で現れた数字をもとに、考察したり方向性を見い出している。

前半は諸外国との比較データもあるが、日本は遅れている感がゆがめない。日本はこれから超高齢化社会に突入し、労働人口の減少が深刻になる。人材確保のため、女性が働きやすい環境を考えるのは自然なことだが、その一方で、世界と比較しても、日本は突出して男性的な職場で、女性が働きやすい環境とは言い難い。

アンケートの結果から浮かび上がった、男性では気付かない、女性の考えの傾向がいくつも出てきた。結局、男性がいくら考えても女性の考えの傾向は理解できず、もっと言うと、男女限らず、その人の考えの方向性は、誰だって聞かないと分からない。おそらく、多様性って、そういう部分があることを認めるってことじゃないかと思う。

かなりの努力をして、仕事と育児を両立する女性っていますが、みんなできるわけじゃない。そんなこと言ったら、そのレベルで両立している男性なんて、皆無に等しい。女性が無理せず、自然に仕事も育児もできる職場。地味で目立たなくても、やりがいを持って続けられる職場になるといいなあ、と思います。