軽さは力 ~ウルトラライトハイキングギア~

テント泊をしてみようと、いろんなサイトや本から情報収集してますが、自分がどのスタイルに合うかが分からないので、見ただけで道具を選ぶのは難しい。バックパックひとつとっても、「テント泊ならバックパックは60L以上」と書かれていることが多い一方、30-40Lのバックパックを使い、10kg前後の装備で縦走している人もいる。できるだけ軽量装備をする考え方もあるようなので、本書を読んでみた。なるほど、軽量化というのは、道具の必要性を一つ一つ見直すことなんだ。

ウルトラライトハイキングギア

ウルトラライトハイキングギア


本書は、様々なアウトドアギアをガンガン試してレビューする、「山より道具」というブログをまとめて書籍化された本。性能の良い、優秀なギアを紹介しているというより、著者の使った道具のレビューを順番に紹介しているような構成。だから、日本で入手困難な製品も結構載っている。

ストーブはともかく、テントやシェルター、シェラフやバックパックまで、こんなに自分で買って試したのか?と思うほど多くのギアが紹介されている。軽量化を目指す場合、どこを妥協できてどこが妥協できないかの優先度が大事になるが、そこは店頭で商品を見ただけでは分からない。テントもシェラフも、一度泊まってみないと善し悪しがつかないものだ。本書では、ギアの紹介もしているが、実際に使った時の使用感、印象、困ったことなどが細かく記載されている。自分で試さないと分からないが、ギアを多く試した著者であれば、それなりの説得力はある。

また、アルコールストーブやスタッフサックなどの自作例も紹介されている。キューベンファイバーのような高価な素材でも、生地を購入して自作すれば、安価に軽量なギアを作ることもできるんだ。自分でもゴトクや山用テーブルを自作したが、自分が必要とする最低限の機能しかつけないので、結構軽量化できるものだ。軽量化には王道はなく、自分が何に重きを置いて山に行くのか見つめ直し、必要不要を考えてギアを見つめ直すことになる。ウルトラライトとは、自分で考えることである。著者のレビューは参考になるが、著者がいいと思い常用しているものが、自分に気に入るかは分からない。最後は自分のフィルターにかける必要がある。そういう感性を磨く意味では、本書はとても良い参考書となる。

ブログ「山より道具」は、残念ながら4年ほど更新されていない。4年経てばギアもかなり進化しており、著者が現在、どのようなギアをチョイスし、試しているのか気になる所ではある。