読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Activityとしての「お手玉」の特性

書評 作業療法

 2月にActivityをテーマにお手玉を使っていくつか実技をしましたが、終わってから図書館で予約していたお手玉関係の本が何冊か手元に来ましたので、ざっと読んでみました。そのうちの1冊がこれですが、なかなかセンセーショナルなタイトルですね。著者は心療内科医ですが、その治療経験をもとに、お手玉活動の治療的効果について書かれている。実際は、お手玉だけをつかうのでなく、患者さんに行ってもらう3つの練習のうちの1つですが、その使い方を見ているとお手玉特性を良く分析しているな~、と感心することも多いです。講義でも話しましたが、OTがお手玉を使う時、その活動よりも、道具の特性を利用していることのほうが多いので、活動としての特性は大いに参考になりました。

「お手玉をする」とうつ、パニック障害が治る (ビタミン文庫)

「お手玉をする」とうつ、パニック障害が治る (ビタミン文庫)

 参考になるのは、第2章「心と体を健康にする『お手玉』の不思議」の部分。ここに著者の考えるお手玉特性が書かれています。

 投げ上げた球が落ちてくる。それを取らなければいけません。
これがいいのです。いやが応でも、患者さんは、今という瞬間
を生きざるをえなくなります。

 ここについては、OTで行う訓練種目から見ても、特に際立った部分はないように思います。お手玉でなくても、ボールでも、輪投げでも、その他の活動・道具を使った内容でも、おおかた似たような傾向があるように思います。

 お手玉は、さまざまなレベルの難易度設定が可能なので、
個別に目標を定めやすいのです。また、他人との競争ではなく、
自分の努力によって達成できるという点も、お手玉の
すばらしいところです。

 この部分は、お手玉らしい特性ですね。お手玉の楽しさは、できるかできないかくらいの難易度の遊びを繰り返すうち、突然成功する。その時の達成感かな、って思います。お手玉というと、投げ上げる遊びしか知らない人もいますが、その「ゆり玉」と言われる遊びのほか、「よせ玉」と言われる、お手玉を投げている間に他を寄せたり集めたりする遊びもあり、2種類を合わせると結構な種類の遊びがあり、うまく選択すると難易度設定の自由度もかなり高くなる。

 お手玉には「心の癖」が現れやすいです。

 これもお手玉に限った特性ではないですが、難しい遊びに挑戦すると失敗しやすいし、簡単な遊びを選択することもできる。自由度が高く、しかも1人で遊ぶものなので、自分のペースでできてしまうので、逆に自分の「取り組み方」の傾向が出てしまいやすいですね。失敗したくなければ簡単な遊びをすればいいし、完璧にしたければ、完璧にできるまで何度でも挑戦することができる。

よく考えると、こんな風にお手玉を使ったことはあまりないなあ、と思います。お手玉は何と言ってもポケットに入るくらい小さいので、ベッドサイドに行くときに、2個くらいポケットに入れ、どうしても手を使う対象物が欲しい時に使うくらい。幅の広い使い方ができる道具なのに、狭い使い方しかできていない。そんな自分の「心の幅」というのも見えてしまいます。

あと2冊借りてましたが、参考になる部分はあるものの、特記するような内容は特に見当たりませんでした。

お手玉

お手玉

15年ほど前の古い本です。監修している、「日本のお手玉の会」のホームーページで見られる情報と大差なく、あえて本を見る必要性もない。

たのしいお手玉

たのしいお手玉

子どもを対象とした、「遊び」としてのお手玉が中心。遊び方のアイデアは伝承的な内容にこだわりすぎず、実際に遊びに使えるそうな実用的な本。以外にも、久保田競先生の引用が多いのにびっくり。