リハビリテーションとBCP ~BCP(事業継続計画)入門~
昨年は西日本豪雨を始め、自然災害の多い年だった。職場にとっては災害対応が要求されるほどではなかったが、JRはじめ公共交通機関の計画運休が多く、スタッフが足りない状況になった。そこで知ったのが、BCP(事業継続計画)である。災害などが起きた時に、最低限の業務が維持できるよう、平時から業務の優先度を考えておくことが必要です。
- 作者: 緒方順一,石丸英治
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/08/10
- メディア: 新書
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もともとは、DR(Disaster Recovery:災害復旧)という取り組みから始まり、現在のBCP(事業継続計画)に代わっていったようです。簡単に言うと、思いもよらぬ事故・災害に遭遇しても、最低限の業務を維持するための、平時からの計画、ということになります。
そもそも私が働いているのは市民病院ですので、重大な自然災害が起きれば、その時の業務を維持する以上に「災害に役に立つ病院」としての責務が生じます。なので、リハビリテーション職種としては、特に発生直後には病院全体の災害対応のために貢献しないといけません。ただ、このような場合でも、「最低限実施すべきリハビリテーション」の範囲を明確にしておかないと、実施している患者さんへの不利益が生じてしまいます。
昨年度に何度かあった災害は、「病院が災害対応するほどではないが、交通機関の乱れにより、出勤困難、帰宅困難が起こり、それによるスタッフ不足が生じた」という問題が起こりました。これは重要度からするとやや低いものの、年間1回程度は起こり得ることであり、何らかの計画をしておいてもいいでしょう。
災害時の出勤・帰宅とも、場合によっては自然災害に巻き込まれるリスクが伴います。職場としては安全配慮義務があり、可能な限りそのリスクを最小限にする義務があると考えます。出勤者が少なくなるのは、ほとんどのスタッフが公共交通機関で通勤している職場では避けようがありません。また、同様の問題は、インフルエンザ等の感染症がスタッフ内でアウトブレイクした時も起こり得ます。両方の場合を含めて考えても、多ければスタッフの半分程度が、3-4日にかけて起こり得ると考えて計画を立てればいいと考える。
本書に書かれているような内容は、部署レベルでの対応には無理があり、本来は組織全体で行っていく活動であると思う。しかしながら、上記に書いたような中程度のリスクについては、部署内でもある程度計画してもいいのではないでしょうか。病院全体でルール化されてなくても、起こった時に迅速に組織に提案できることは大きいでしょう。