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まさにリスクマネージメントツール ~ビジネス契約書の起案・検討のしかた~

この週末は東京で研修会でしたが、その行き帰りを使い一気に読みました。別に契約書を書くわけではないんですが、仕事を業務さんにお願いする際、どのように約束を交わせばいいのか、そのヒントが見つかればと思い、買いました。本書は、類書でありがちな「契約書の文例」があるわけでなく、「どう考えて文書を起こすか」に重点が置かれている。そういう意味では自分の目的に合致した本であり、読み応え十分でした。

ビジネス契約書の起案・検討のしかた―リスク・マネージメントの道具としての

ビジネス契約書の起案・検討のしかた―リスク・マネージメントの道具としての

本書は経験の浅い法律実務家を対象としており、法律独特の専門用語が分かりずらい部分もありますが、全体的には平易な文章で書かれており、何とか読み進められました。ただ、当然と言えば当然ですが、契約書の文例として出てくるものは、法律的な言い回しが多く、何度読んでも分からない部分もありました。それでも、「なぜ、このような文章にするのか」の説明もちゃんとされています。相手に理解してもらうためのものか、紛争となった時に裁判官に理解してもらうためのものか、などなど。

契約書を簡単に説明すると、「どういう場合に(要件)」、「どのような権利・義務を有するか(効果)」を双方の同意のもと、文章化したもと、と言うことができる。例えば、「期限内に作業を完了しなければ(要件)、契約を破棄することができる(効果、この場合権利)。」という文章になるだろう(この文章表現では問題ありですが)。業務をお願いする立場としては、ちゃんとやってもらわないと困る作業を洗い出し(リスクのシュミレーション)、それが起きそうなのか、また起きると深刻な内容かを考え(リスクのアセスメント)、対策を決めて条文化(リスクマネージメント)し、相手に同意を得るまでが契約となる。

契約書は、類似した事例の文章を引っ張ってくればそれでOK、ということではなさそう。表面的な文章よりも、委託業者とのかかわりの中で、どんな問題が起こり得るかのリスクのシュミレーションが必ず必要である。その部分は弁護士などの専門家であっても、実際の業務内容を熟知しているわけではないので、当事者が行うしかない。

契約書と聞くと、法的側面が強く感じてしまうが、これはケンカ(つまり紛争)をするためのツールでなく、特委託された側は何をすべきかを明確にすることで、お互いが仕事しやすくするためのツール、と個人的には考えている。お互いがWin-WInとなるようになればいいなあ。