戦後民主主義を理解するための必読書 ~ヒトラーとナチ・ドイツ~

民主主義って、一見いいように見えるが物事がなかなか進まない。かつて橋本徹さんが「今、日本に必要なのは独裁です」って言ったことあるけど、これだけ物事が進まない状況が続くと、それも一理あると思ってしまう。かつてのナチ・ドイツって、外から見れば異常な状態に見えるが、その頃のドイツは混沌とした状況で、民主主義に懐疑的な人も多く、強いリーダーシップを求めていた所は、今と多少似た状況にも思える。そして最も知らなければならないのは、ナチ党は法律や民主主義のルールを守りながら、独裁を築いた点です。

ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)

ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)

ヒトラーは民主主義のルールの中で生まれた」って話を聞いたのが、本書を読んだきっかけである。書評を書くにはタブーすぎる内容なので、深く意見は書きませんが、読んで思った感想は以下の通り。

  • 最初はクーデターの様なことを行ったが、法治国家の下に罰せられ、収監されている。法や民主主義のルールに乗っ取り活動したのはその後であり、そこからナチ党は勢力を拡大していった。
  • ナチ党が第一党となり、ヒトラーが首相に任命され、首相に強い権限を与える授権法成立までは、強引な部分はあったが、法や手続きを守りながら進めていった。独裁と言われる無謀な立法を始めたのは、授権法成立してからである。
  • 議会制民主主義の否定、反ユダヤ思想は政権を握る前から主張していた。権力を握ってから突然それを進めたわけでなく、もともと掲げていた政策を、権力を得てから強引に押し進めた。

批判の応酬でなかなか進まない政治にイライラもするが、一つの党や一人の考えで進められない状況こそ、暴走は押さえられている状況とも取れる。民主主義のルールが徹底的に排除された時代を見ると、何でもない今のルール一つ一つに、意味を感じられる。今のルールの意味を知るためにも、知っておきたい歴史の事実です。