塩屋、そして六甲山系西の端の象徴 ~旧グッゲンハイム邸物語~

塩屋に足を踏み入れたのは、六甲登山を始めてからですが、坂が多いながら昔ながらの雰囲気が残っている街並みが好きです。旗振山へのルートは、須磨浦公園より断然、塩屋ルートが面白いです。本書を読むことで、塩屋の象徴である旧グッゲンハイム邸だけでなく、塩屋の街の雰囲気がどのように形作られてきたのかが、よく分かりました。こんな塩屋が今後も残ってくれるといいな。

旧グッゲンハイム邸物語 未来に生きる建築と、小さな町の豊かな暮らし

旧グッゲンハイム邸物語 未来に生きる建築と、小さな町の豊かな暮らし

かなり以前、塩屋から旗振山へ登った時に撮影した、旧グッゲンハイム邸です。空も開けており、海や淡路島を望むこともできる。塩屋駅から近いけど、入り組んだ路地のため、駅近とは思えないくらいのひっそりとしたたたずまい。周りの雰囲気は、北野の異人館より全然いい。
f:id:Hanamaru:20140914140334j:plain

旧グッゲンハイム邸周辺はこんな雰囲気。異国に来たような雰囲気で、晴れた日なんか雰囲気最高です。
f:id:Hanamaru:20140914140250j:plain

塩屋駅から北に延びる商店街は驚きの狭さで、人がやっとすれ違える程度。しかも、人が結構歩いているので、何度もすれ違わないといけない。
f:id:Hanamaru:20140831074251j:plain

旧グッゲンハイム邸は、今も残っていて、時々イベントやってるんだ、くらいの認識だったのですが、この建物を残すために、著者やその周りの人がどれくらい大変だったのかが本書には書かれている。私の父方の親戚は、京都の由緒ある屋敷に住んでいますが、由緒ありながらもその維持がいかに大変かはよく聞いていた。だから、旧グッゲンハイム邸も建ってはいるが、それを維持するためには人の力はもちろん、経済的な負担も大きいのだろうなあ、とは思っていた。

このような歴史的価値のある建築物は、無責任な外部の人間から見ると、残っていたほうがうれしいのだが、実際に所有している人、その街に住んでいる人からすると、そんな簡単なことではない。これは、塩屋が好きで、塩屋のいい所を残したいと思っていた人が多く、それがいい方向に働いたから今の塩屋があるんでしょう。

個人的には、このような歴史的価値のある建築物や街並みは、個人の努力だけで維持するのは限界があると思う。歴史的価値があるから残したいと、いくら周りがいっても、所有者は大変なんです。だからこそ、歴史的価値があるものを残すためには、行政がしっかり関わり、少なくとも維持については税金が使われるような仕組みができないかと、日々考えている。税金が投入されるということは、税金を払う人の多くが、その必要性を理解してもらう必要がある。塩屋もそんな風になればいいな、と思う。たぶんすぐには無理だろうが。

旗振山へのルートは、塩屋コースが絶対にお勧めです。