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エディーはいい上司? ~エディー・ウォーズ~

書評

ラグビーワールドカップから半年以上経ち、本屋に並んでいたのが本書です。エディーはすばらしい結果を残したし、他の人ではこの結果は残せなかったと思いますが、自分の上司になると考えると、微妙な人です。少なくとも、自分の上司にはなってほしくないなあ。

南アフリカ戦の最後、キャプテンのリーチがエディーの指示に従わず、スクラムを選択した。試合後、エディーはその判断を称賛しており、「人間のできた人だ」と思っていた。でも実際、相当怒っていたようです。しかも、試合前にリーチに対し、「自分の感覚を信じて判断するように」って伝え、リーチはその通りに判断したにもかかわらず。エディーは思っていた以上に怒りっぽく、激情型の指揮官のようだ。

著名な経営者と比べるなら、アップルのジョブスとよく似ている。自分の理想像をしっかり持っていること、自分も妥協せず部下にも妥協させないこと。違うのは、ジョブスは社交的だが時に人間味のない判断をするが、エディーは人間味がある一方で激情してコントロールを失う不器用さがあることだろうか。エディーはラグビーが好きで、いつでもラグビーのことを考えており、それゆえに自分の考えを押し付けてしまう部分がある。ただ、考えた方法や戦略は洗練されたもので、それゆえにワールドカップであれだけの成績が残せたのだろう。南アフリカに勝てたのは決して偶然でないことは、本書を見れば理解できる。

選手たちはかなり、エディーの機嫌に気を使っていたようだ。ワールドカップのため現地入りしてから、エディーの精神状態が不安定な印象を持っていても誰も何も言えない。その中で選手は、帯同する予定のなかったメンタルトレーナに来てもらうようエディーに進言した。表向きは自分たちのためだが、実際はエディーを心配してのこと。そういう部分にも、信頼しつつも微妙な関係が見え隠れする。

エディーはワールドカップで素晴らしい結果を残し、他の誰が行っても、同様の結果は残せなかったと思う。だからと言って「理想の指導者」と無条件に絶賛するのは気が進まない。エディーがオフィスに残した「Good Boss,Bad Boss」という本のタイトルが示すように、時間が経ってから良かったのか悪かったのか、今後の代表や各選手の活躍状況を見て振り返るのもいいかもしれない。