本の保存は高コスト ~本で床は抜けるのか~
床が抜けるほどではないが、自宅の本は増え続けており、いつか考えないといけないテーマ。床が抜けるかどうかより、その危機に面した方々の模索がとても参考になった。電子化が流行ってはいるが、一覧性や読みやすさでは紙の本にはかなわない。しかし、大量の本を保管するには相当なコストがかかる。どう折り合いをつけるかは、結局自分で考えないといけない。
- 作者: 西牟田靖
- 出版社/メーカー: 本の雑誌社
- 発売日: 2015/03/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まず著者の西牟田靖さんですが、国境関係の著書が多いノンフィクション作家で、そのためか情報収取や取材を丁寧に行っており、持論を展開するだけの薄っぺらい本とは一線を画している。そもそも著者の本が増えすぎて、床抜けの不安が強くなったことが本書を書くきっかけですが、過去の事例がないか調査し、可能な人には取材をしている。持論より、得にくい事例の情報そのものが貴重であり、それだけでも本書を読む価値がある。結局は、建物の条件が悪く本の重量が度を過ぎれば、床が抜けることは十分にあり得る。では、床が抜けないような建物を立てればいいのだが、それだけの重量に耐えうる建物はかなりの高コストになる。本は購入コスト以上に、保存コストのかかる物である。
本書の後半には、保存に困り電子化の方法を取った人たちへの取材があるが、その取材こそ貴重な情報である。電子化すれば情報の量は変わらないはずだが、電子化した人の多くは一覧性や読みやすさでは後悔していることが多い。不要と思って捨てた本についても、後で後悔することが以外に多い。悩ましいところだ。
どうすればいいかの答えは出ないが、自宅の保存キャパシティと保存の必要性をてんびんにかけて選択するしかなさそう。電子化は読みにくいことより「見えない」、つまりタイトルが目に留まる機会が減ることにより、思い出せないことが大きいようだ。そこをアプリケーションやクラウドサービスを使い解決できれば、もうちょっと本の量を減らせるかも。