医者に「殺されない」ために、どう付き合うか?
感染症専門医として知られる岩田健太郎先生の著書ですが、専門分野を超えて先生の医療全体の考え方が良く分かる本です。刺激的なタイトルとは裏腹に、良いも悪いもはっきりしない、グレーゾーンたっぷりです。でも医療って本来、グレーゾーンばかりなんですよね。
「風邪をひいたら抗生剤」はもちろんおかしいですが(これも全ておかしいわけではないです)、PLや点滴投与も含め、日本独特の治療のされ方に対して、論理的に、一つ一つしっかり検証されています。どの治療も全てダメと言っているわけではなく、メリットとデメリットを天秤にかけ、治療を受けるだけのメリットがあるかどうかが大事なのです。
47の心得が書かれていますが、一番大事と思われるのが、心得45「医学・医療の最大の敵は『極論』」の部分で、本書のコンセプトが書かれています。医療ってそもそも微妙な世界なんですよね。だからこそ、最終的には人間が判断しないといけない。その難しさがあるからこそ、患者は専門家(医師)をうまく使わないといけない。まさに医師を使いこなす心得が書かれた本でした。
岩田先生のように医療に向き合い、自分の頭で考えねば・・といつも思います。
感染症の専門医で、神戸大学教授の岩田健太郎先生のブログです。