澤村先生の足跡に触れる ~地域リハビリテーションと私~

リハビリテーションの世界、特に私の世代では澤村誠志先生を知らない人はいないだろう。しかし、先生がどのような足跡をたどってこられたかは、講演を聞き、本書を読むまでは、恥ずかしながら知らないことが多かったです。地域やリハビリテーションの世界で、今普通に行っていることが、先人の方々が努力して勝ち取ってきたものも多い。そんな足跡に少し触れることができる本でした。

地域リハビリテーションと私

地域リハビリテーションと私

去年の12月、第20回兵庫県総合リハビリテーション・ケア研究大会に参加し、「兵庫県におけるリハビリテーションの軌跡とこれから」のテーマで、澤村先生による基調講演が行われました。本書は、その講演後に会場で購入した本です。日本だけでなく、世界的にも有名な先生ですが、その根幹は、「兵庫県が障害者にとって住みやすい環境に」との思いがあり、先生の足跡は、兵庫県リハビリテーションの歴史でもある、と講演を聞いて強く感じました。

リハビリテーションという言葉すら理解されない時代から、行政に根気よく働きかけ、兵庫県立総合リハビリテーションセンターを設立され、それだけでなく障害者にやさしい町づくりや地域の基盤づくりなど、地域に関するあらゆることを行ってこられた。ほんと、自分たちが行っているリハビリテーションは、先生方が作っていただいたお膳立てがあってこそ、と思います。

日本のリハビリテーションに関する仕組みの構築に、直接関わられた先生の足跡をたどることで、地域リハビリテーションシステムがなぜできたのか、など、私たちが断片的にしかしらないことが、つながりを持って理解することができた。何よりも、強い信念を持ち、いくつになられても行動を止めない先生の姿勢に感動しました。病院で働いているセラピストも、地域でどのようなことが起こっているのか、一人一人が意識を向ける時代に来たと思います。