雑談空気意外に重要 ~リモートチームでうまくいく~

職場の中でも外でもやたらと会議が多くなっている。特に職場外での会議では、時間が合わなかったり距離的問題があったり、調整に難渋することも多い。じゃあ、メールで済まそうかと思うのだが、理由はよく分からないが物事がうまく進んでくれない。何かいい方法はないかと読んだのが本書である。著者の会社のように実現するのは難しいが、リモートチームを実践する中で、「じゃあ、直接会うのは何のため?」という理由が浮き彫りになり、それは参考になった。

リモートチームでうまくいく マネジメントの?常識?を変える新しいワークスタイル

リモートチームでうまくいく マネジメントの?常識?を変える新しいワークスタイル

本書は、著者が2冊目に書いた本であり、1冊目に書いたのはこの本です。読んでないのでタイトルからしか推測できないが、常識にとらわれないマネジメントをされる方という印象だ。

「納品」をなくせばうまくいく ソフトウェア業界の“常識

「納品」をなくせばうまくいく ソフトウェア業界の“常識"を変えるビジネスモデル

リモートチームとは、おおざっぱに言うと「場所に縛られず、チームでの業務を行う方法論」ということだろうか。会社に出勤してもいいし、家で仕事をしてもいいし、海外で仕事をしてもいいわけだ。「在宅ワーク」と同じかな、とも思ったのだがちょっと違う。在宅ワークを知っているわけではないが、会社や受注元からの指示・注文に対し、作った生産物を提出する、という流れではなかろうか。それに対しリモートチームは、作業中もリアルタイムにチームとつながっているのが大きな特徴と言える。

自分もWeb会議やチャットでの会議を経験し、その難しさを経験しているからこそ、著者の進めているやり方に納得できる部分が多い。会議で来れなかった一人がチャットでつながればいいかと言うと、決してそんなことはない。私だけがチャットで会議に参加した時は、向こう側の雰囲気や話の流れが分からず、ちぐはぐしたコメントしか出せず、そのコメントによって向こう側の会議もぎこちなくなったようだった。その時は解決策がなかったが、本書を読めば、みんな同じ条件にすれば良かったんだと気付いた。リモートでつながっている人・つながってない人では雰囲気に必ずずれが生じるので、リアルに会っている人も全て、直接話さずチャットで会話すれば良かったんです。一見、めんどくさそうであるが、リモートでつながっている人を同じ条件にするには、現実的には一番いい方法のように思う。そして、雑談が意外に重要ということです。これは意外ではありましたが、納得できます。そういう会議に関係なさそうなコミュニケーションこそ、相手を知ったり雰囲気を作ったりと重要な役割を果たしてるんですね。

リモートチームがうまく行けば、会わなくてもいいかというと、決してそうではない。会ってコミュニケーションを取るのは、その人を知る上では何物にも代えがたい。著者の会社では半年に1回程度、合宿の形をとってface to faceの関係も作れるように工夫している。リモートチームで全てスムーズにいくわけではないんです。リモートチームで時間的・距離的制約を解決し、それでできないことは他の手段で補う。

これをそのまま普段の会議にあてはめるのは難しいが、メールでのやり取りで解決できそうになければ、みんなの時間を合わせてチャットで会議をするところから始めてもよさそう。メールでは返事にどうしてもラグがあるので、議論が必要な内容には向かない。会議メンバーがチャットに慣れてくれば、今よりはリモートチームが機能してくれるかも。