なぜ選挙に行くべきか、ちょっと考えてみた

ここしばらくは全国学会の準備で頭いっぱいで、ブログの更新も滞っております。しかしながら、学会のことばっかり考えてても精神衛生上良くないので、ブログを書きながら違うことを考えてみることにしました。
さて、あっという間の衆議院解散となりましたが、ネットやテレビでは賛否両論のようですね。ただ、安倍総理は自分の権利を手続きに従って行使しただけのことで、それをとやかく言うのはどうかと思います。解散させるのが良くないのであれば、総理が解散する権利について議論すればいいのですが、そんな話は出てこないです。選挙となれば、規定の年齢以上の人には選挙権がありますが、今回はその選挙権についてちょっと考えてみました。

選挙に行かない人の言い分としてよく聞くのが、「自分が投票しても、結果には変わりない」というものです。なるほど、たしかにその通りです。数票の差で当落が決まることはめったになく、たしかに1人の投票で結果が変わることはほとんどないでしょう。また、「選挙に行ったところで、政治が変わるわけではない」という意見もある。たしかに、よっぽど秀逸な手法をとらない限り、1人の意見が政治に反映されるようなことは、なかなかないだろう。しかし、だから選挙に行かなくていいのか?

この議論は、予防接種と似ている側面がある。予防接種も、「受けて効くのか?」という話題がよく出てくる。これは予防接種の種類によっても違うが、例えば麻疹のワクチンは抗体がつけばほぼ確実に予防できるので、個人のメリットはまだ多少感じられる。しかし、インフルエンザまでくると、接種してもかかる場合もあれば、かからない場合もある。かからなくても、接種したおかげかどうかなんて、実際は分からない。要するに、予防接種は、接種した1人にとって、メリットがあるかどうかは「分からない」ものです。では、何で予防接種を受けるんだろう。受けなくてもいいんじゃないの?

1人が予防接種を受けなくてもほとんど何も変わらない。これは選挙と一緒ですね。大事なのは1人が受けたかどうかではなく、全体の接種率なんです。これが高いと周りで感染している人が減るため、予防接種をしてない人もかかりにくくなるんです。そして感染拡大を防ぎ、全体として感染者数は大きく減ります。予防接種は個人のためではなく、「社会全体のために、それが個人のメリットにも」という考え方だと思います。

選挙も同じで、1人が投票して何かを変えるのでなく、「投票率」が大事なんです。例えば20代の投票率は37%、30代は50%で他年代に比べて低いです。さらに20代の人口比率をかけると、全体の投票における、その年代のおおよその票の割合が計算できます。計算した票の割合は、20代が4.7%、30代が8.2%です。ちなみに、60代は13.3%であり、20代、30代を合計した割合よりも多いです。投票された票数で当選が決まる議員にとって、当選するためにどの年代に焦点を絞れがいいのかは明白です。当選しようと思えば、保育所の整備など子育て世代のための政策より、高齢者医療の政策を掲げた方が票は集まるんです(あくまでも計算上ですが)。20代の投票率が仮に90%に上がれば、全体における票の割合が11.2%となり、ここまで来ると決して無視はできないでしょう。90%の人が投票し、その投票した人が当選しなくても、議員はもう20代の有権者を無視できなくなります。だから、自分の1票で結果が変わらなくても投票しないといけないんです。

だから投票に行きましょう。極論ですが、「選挙ポスターの顔が良かったから」でもいいんです。おそらくそれで結果が変わるわけではないんですから。でもそういう人が増え、投票率が大きく変わったら、政治も有権者を無視できなくなるでしょう。