書評

澤村先生の足跡に触れる ~地域リハビリテーションと私~

リハビリテーションの世界、特に私の世代では澤村誠志先生を知らない人はいないだろう。しかし、先生がどのような足跡をたどってこられたかは、講演を聞き、本書を読むまでは、恥ずかしながら知らないことが多かったです。地域やリハビリテーションの世界で…

リハビリテーションとBCP ~BCP(事業継続計画)入門~

昨年は西日本豪雨を始め、自然災害の多い年だった。職場にとっては災害対応が要求されるほどではなかったが、JRはじめ公共交通機関の計画運休が多く、スタッフが足りない状況になった。そこで知ったのが、BCP(事業継続計画)である。災害などが起きた時に、…

情意教育がテーマの、20年前の良書 ~効果的な情意教育の展開~

本書は最近読んだ本でなく、15年以上前に、臨床実習や職場の教育で悩んでいた頃に出合い、それ以来バイブルのように何度も目を通し、そして後輩にも引き継いできた思い出深い本です。驚いたことに、最近言われているタキソノミーや一般目標(GIO)、行動目標(S…

最も多数派なマイノリティから考える ~女性の視点で見直す人材育成~

年末に読んだフィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (PHPビジネス新書)以来、中原先生の著書を探しては読んでいます。その中でも特に良かったのが本書。女性と書かれているが、スタッフの多様性にどう対応するかをテーマにした本…

「やって見せ、~」をもうちょっと詳しく ~インストラクショナル デザイン~

「やって見せ、言って聞かせてさせてみて、誉めてやらねば人は動かじ」 有名な山本五十六の言葉です。臨床実習で指導する場合の、基本的な考え方として引用されることが多く、分かりやすいですが、見せる前にどんな説明をするのかなど、指導する場合には手が…

実習症例をまとめるための方法論に使えるか? ~ペアプログラミング~

臨床実習に症例レポートは必要か?という議論がありますが、最適解が見えてきません。少なくとも、今までのような症例レポートの方法論では難しいと思いますが、提出物となっている養成校もあり、難しいところです。症例を振り返るにしても、実習生の負担に…

プレッシャーで成長するのか ~ゆとりの法則~

最近は、トム・デマルコの本を続けて読んでいるが、今度は「ゆとりの法則」だ。要するに、プレッシャーをかけすぎても生産性は上がらず、組織の柔軟性は低下し、変化に対応できませんよ、ということが書かれている。ゆとりだけではダメですが、ゆとりをうま…

病院独特のルールを知る ~看護学生 してはいけないケースファイル~

病院は、一般社会の常識的な行動が通用しないことがあります。患者さんに良かれと思うことでもタブーは以外に多く、特に実習生は知らず知らずのうちにタブーな行動をしてしまう可能性も高い。そんな行動をまとめた本書は、看護学生向けながらも、作業療法の…

衝撃の一冊 ~長生きできる町~

今まで、自分の考え方に大きな影響を与えてくれた本は何冊かありますが、その中に加わることになる、衝撃的な本でした。健康寿命に影響を与えていることが、ビックデータからいろいろ分かり、それが私たちの直観とは違うことも多く、データから考えることの…

無難だが網羅されている一冊 ~仕事に役立つExcelデータベース~

職場の端末には、幸いWordとExcelがインストールされている。特にExcelは、VBAをうまく利用すれば業務分析や効率化が行える。今まで、Excelをデータベースとして利用する際は、かなり古い本を参考にしていた。しかし、Excelのバージョンもかなり上がり、標準…

今だからこそ、知っておきたい方法 ~フィードバック入門~

今年の一冊目は、いきなり良書に巡り合えた。フィードバックという方法を何となしに使っていたが、本書もしくは著者の本に、もっと早く出会っておきたかったと後悔するほどの内容でした。これは一般企業の現場教育を想定した本であるが、臨床実習教育の、そ…

教えることと主体性の矛盾に向き合う ~主体性は教えられるか~

私の好きな、岩田健太郎先生が書かれた臨床教育に関する本ですが、タイトルに示す通り「主体性」に焦点を当てられています。作業療法の世界でも臨床教育指針が示されていますが、その一方、指針通りに行えば教育がうまくいくのか、という疑問も残ります。教…

組織傾向の概念化は大事 ~アドレナリン・ジャンキー~

良し悪しは別として、医療組織って独特だと思っている。多くの専門職が、それぞれの職域や得意分野、考え方に違いがある中でチームと連携し、一人の患者さんの治療にあたる。しかし、組織的には専門職同士のつながりが強く、縦割り組織と横断的チームが複雑…

実例いっぱいだが、詰め込みすぎ ~ウルトラライトハイカー~

ウルトラライトハイキングにあこがれ、いろんな本を読みあさっている。今度は、「ウルトラライトハイカー」という本。これは11人のウルトラライトハイカーの装備や使い方などを紹介した本。やはりウルトラライトハイキングには王道はなく、人それぞれ工夫し…

軽さは力 ~ウルトラライトハイキングギア~

テント泊をしてみようと、いろんなサイトや本から情報収集してますが、自分がどのスタイルに合うかが分からないので、見ただけで道具を選ぶのは難しい。バックパックひとつとっても、「テント泊ならバックパックは60L以上」と書かれていることが多い一方、30…

兵庫の滝を発掘してくれた最初の本 ~探訪ひょうごの滝~

神戸新聞社が最初に発行した「ひょうごの滝」シリーズの第一作目。初版発行が1996年ですので、道が多少変わってはいますが、滝は昔も今も変わりなく、淡々とすばらしい景観を見せてくれています。探訪ひょうごの滝作者: 須田京介,北村泰生出版社/メーカー: …

本の整理2017年夏その2

引き続き、どんどん本を整理しています。今後見たり興味を持ったりがなさそうな分野は、ばっさり捨てることにしました。

本の整理2017年夏

本の増殖がどうにも止まらなく、手元に残しておきたい本も処分対象になりつつあります。捨てる前に記録だけは残しておきたいので、簡単な思い出と書評を含め、書き留めておきます。思い返すと、本のことは忘れてても、部分的に自分の思考に取り入れられてい…

作った側の貴重な話 ~人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?~

最近は将棋とAIに関する本をよく読んでいる。将棋に興味があるというより、将棋界とAIで起こっていることは、将来医療業界や日常生活でも起こるだろうと思っているので、先を見据えるために読んでいる。そして今回は、AIを作る側の人が書いた、貴重な本です…

塩屋、そして六甲山系西の端の象徴 ~旧グッゲンハイム邸物語~

塩屋に足を踏み入れたのは、六甲登山を始めてからですが、坂が多いながら昔ながらの雰囲気が残っている街並みが好きです。旗振山へのルートは、須磨浦公園より断然、塩屋ルートが面白いです。本書を読むことで、塩屋の象徴である旧グッゲンハイム邸だけでな…

生きるための知識・知恵、そして教育を考えらせられる ~国を救った数学少女~

久しぶりの文学小説でしたが、展開が面白く一気に読みきりました。ありえないくらいの過酷な環境の中、主人公のノンベコは自分の力で状況を切り開いていく。物語としてもかなり面白いんですが、教育がない環境でも自分から学び、それを状況打開のために利用…

池田先生の知性と寛容が詰まった一冊 ~真面目に生きると損をする~

リーディンググラス(つまり、老眼鏡)のおかげで字を読むストレスが減り、ここ最近、読書スピードが格段に上がった。図書館で借りたこの本ですが、あまりに面白かったので、1日で読み切っちゃいました。何事にも流されずに知性あるものの見方を貫く一方、違…

そうとは言いきれないが、なるほどと思う ~すべての教育は「洗脳」である~

久しぶりにホリエモンの本を読んだ。考え方に必ずしも同意するわけではないが、自分の意見をしっかり言い切る姿勢は尊敬に値する。曖昧にして責任を取らない人よりよっぽどいい。そんなホリエモンが教育の本を書いた。センセーショナルなタイトルで、100%そ…

人工知能とえどう付き合うか ~不屈の棋士~

2015年10月、情報処理学会が「2015年、コンピュータ将棋がプロ棋士に追いついた」と宣言をし、話題となりました。本当に追いついたのかどうかは判断は難しいが、羽生善治さんはコンピュータ将棋の能力を、「ウサイン・ボルトくらいの強さ」と表現しています…

日本教育における干渉と迷走の歴史 ~文部省の研究~

最近は、国際的に学力を比較する指標として、経済協力開発機構(OECD)による学習到達度調査(PISA)がよく使われています。PISAでの国際的な順位にに一喜一憂している印象で、PISAでトップクラスのフィンランドの教育がもてはやされたりと、安易に善し悪しが語…

屏風川唯一の情報源 ~丹生山系 神戸の秘境屏風川周辺~

丹生山系は六甲山の北側に位置し、登山道も整備されているが人知れずマイナーなイメージが強い。その中でも神鉄大池駅北側の屏風川周辺は、屏風川支流を中心に無数の登山道があるが、なにぶん情報がほとんどないので、謎のエリアとなっていた。そんな中、こ…

人工知能の進化が止まらない ~人工知能の核心~

ここ1~2年で、やたらとクローズドアップされるようになった人口知能。ついこないだまで、「将棋の人工知能は、プロに勝てるのか」って言ってたのに、あっという間に追い越そうとしている。囲碁こそ、当分は人間には勝てないだろうと思ってたのに、トッププ…

本の整理2017年春

本の置き場所に限りはありますが、いつの間にか本は増えている。今回も思い切っていろんな本を捨てました。

Kindle版「山と渓谷」「ワンダーフォーゲル」のバックナンバーが期間限定で149円

amazonのKindle雑誌セールが開催されてます。「山と渓谷」「ワンダーフォーゲル」ともバックナンバーが149円とかなりお買い得です。他にも「るるぶ」や「ドゥーパ」もセール対象になっており、いくつかポチってしまいそう。2/26までなので、お早めに。 Amazon…

遭難し、道具なくてもあきらめない ~世界のどこでも生き残る完全サバイバル術~

六甲山と言えども、遭難するリスクは十分にあるので、準備は必要です。ビバークの時にツエルトがあるに越したことないが、たとえなくても最低限の道具と知識・知恵があればシェルターを作ることは可能だ。そんな時のために、Kindle版の本書を購入し、スマホ…